【2626】第十七章 「サヨナラと約束」 |
「ちょっと、皆来てくれへん?」 hydeは笑みを消し、すうっと息を吸って言った。 tetsuにはその声が、少しだけ震えているように聴こえた。 幾つもある窓から、少しずつ降りていく太陽が見える。斜めに差し込む陽光が、深紅の絨毯に影を落とす。 客室を出てから、hydeは振り返りもせず黙って歩いた。その後ろをついて行く六人もまた、黙ったままだ。 一番後ろにいた星夜は、少し早足で歩きながら小さく呟いた。 「・・・なんか、hydeさん、変」 「ん?何か言ったか?」 すぐ前を歩いていたkenがくるっと振り向いた。その声が聴こえたのだろう、tetsuとyukihiroも足を止める。蝶や愛羅まで振り向いたので、星夜は少し慌てた。 「う、ううん!何でもないよ!ほら、hydeさん行っちゃうよ!!」 星夜が悲鳴みたいな声を上げると、hydeが弾かれたように振り向いて、 「何してんの?」 大きな目を瞬かせた。 星夜が返答に困っていると、hydeはふっと顔を背け、 「・・・時間ないねん。早よ来てや」 苛立ったような声を出して、また歩き出した。 「皆、そこに円陣作って立って」 広間の真ん中を指差して、hydeが言った。 「なあ・・・何すんの?」 「うっさいわ。言う通りにすればええの」 ぴしゃりと言われて、訊ねたkenはむう、と唇を尖らせた。 ただ、hydeが酷く焦っている、という事は良く解ったので、それ以上は何も言わなかった。 「・・・・皆、準備ええな」 そう言ったhydeが、両手を胸の前に掲げ、低く何かを呟いて。 瞳を一瞬強く閉じ、見開いた時。 六人の足元が白く光った。 黒い大理石の床に、緻密で鮮やかな魔方陣が浮かび上がる。円形になっているそれからは、光が天井に向けて壁のように立ち上っていた。 『な、何これ!?』 星夜はそう言った、つもりだったが、その声は誰の耳にも届かなかった。自分の耳にも。 声だけではない、内外の音という音が消え失せていた。光の壁に吸い込まれたかのように。 それぞれが何かを叫んでいる様を冷めた目で見つめながら、hydeはゆっくりと光に歩み寄り。 tetsuの前で立ち止まった。 光に手を当てた。不思議な抵抗が掌に伝わり、くすぐったかった。 顔を上げると、tetsuの黒い瞳が戸惑ったように揺れていた。 hydeはその澄んだ輝きを見据えて、ゆっくりと、言葉を押し出すように口を開いた。 「・・・・俺、最後まで自分勝手やな」 でも、今は謝らない。 「もう、時間ないから、一つだけ」 最後の、我儘だけ。 「いつか、逢いに行くから」 やっと見つけた答えだけ。 「満月の夜に、逢いに行くから」 言わせて――――――。 hydeが言葉を紡ぐ間にも、壁に囲まれた六人の身体は少しずつ薄れていって。 全て言い終わるか否か、その刹那に。 tetsuの身体が――kenやyukihiro、星夜、蝶、愛羅の身体が、光の粒子となって消えた。 ++++++++++++++++++++++++++++++++ ・・・・・え〜、何だか色々ほざいておいてさっぱり更新してませんでした(爆死) あっと言う間にこんなに間が・・・・ごめんなさいっ!!(土下座) 今友人に命狙われてて・・・・あっダムダム弾が(違) あともうちょっとなので、頑張ります・・・と言いたいんですけど。 期末が!あと二週間ないんですよ!!どうしよう!!! ・・・・というわけで、細々と更新していきます・・・・(汗) |
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2404 序章 「月光」 2001/12/21(Fri)05:27 風城空牙 (size:1911) |
2423 早速のご感想大・感・謝・・・v 2001/12/21(Fri)18:56 風城空牙 (size:907) |
2429 きゃぁ!!(^▽^) 2001/12/22(Sat)04:38 まいちん☆ (size:769) |
2432 第一章 「日常と呼び声」 2001/12/22(Sat)08:51 風城空牙 (size:4217) |
2433 ・・・・なんか長い(爆) 2001/12/22(Sat)09:03 風城空牙 (size:993) |
2437 第二章 「狂気に似ている」 2001/12/22(Sat)15:58 風城空牙 (size:4368) |
2438 第三章 「月、満ちる時」 2001/12/22(Sat)16:07 風城空牙 (size:4719) |
2458 第四章 「邂逅」 2001/12/23(Sun)11:45 風城空牙 (size:4516) |
2459 ・・・・・どうしよ(自爆) 2001/12/23(Sun)12:09 風城空牙 (size:1064) |
2472 幕間「今絡まる運命の螺旋」 2001/12/24(Mon)18:58 風城空牙 (size:5966) |
2497 第五章 「動き出す―――」 2001/12/30(Sun)12:47 風城空牙 (size:4078) |
2498 第六章 「血色の薔薇」 2001/12/30(Sun)17:46 風城空牙 (size:3106) |
2507 明けまして↓ 2002/1/1(Tue)16:29 風城空牙 (size:1592) |
2514 第七章 「月が沈み日が昇る」 2002/1/2(Wed)10:42 風城空牙 (size:4789) |
2518 第八章 「求める理由」 2002/1/3(Thu)11:39 風城空牙 (size:5582) |
2519 第九章 「抑え切れない力」 2002/1/4(Fri)09:34 風城空牙 (size:4120) |
2547 わーい \(^〇^)/ 2002/1/8(Tue)19:12 風城空牙 (size:862) |
2554 第十章 「眠れる森の――」 2002/1/9(Wed)18:51 風城空牙 (size:5635) |
2559 第十一章 「その感情の名前」 2002/1/10(Thu)18:28 風城空牙 (size:2948) |
2560 続・ねぇねぇ。 2002/1/10(Thu)18:43 風城空牙 (size:828) |
2566 第十二章 「覚醒を待つ心」 2002/1/13(Sun)08:12 風城空牙 (size:2444) |
2568 幕間 「笑顔」 2002/1/13(Sun)08:21 風城空牙 (size:2405) |
2582 第十三章 「戸惑う想い」 2002/1/16(Wed)18:44 風城空牙 (size:2935) |
2595 第十四章 「正反対の気持ち」 2002/1/20(Sun)11:17 風城空牙 (size:3375) |
2612 遅くってごめんなさい(汗) 2002/1/27(Sun)12:45 風城空牙 (size:839) |
2613 幕間 「祈りに似た言葉」 2002/1/27(Sun)12:47 風城空牙 (size:1081) |
2614 第十五章 「迷いを捨てた胸に在るモノ」 2002/1/27(Sun)12:53 風城空牙 (size:3185) |
2626 第十七章 「サヨナラと約束」 2002/2/19(Tue)20:58 風城空牙 (size:2752) |