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【2458】第四章 「邂逅」
2001/12/23(Sun)11:45 - 風城空牙 - Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 5.01; Windows 98) - 16474 hit(s)

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貴方は こんなくらい闇の中 何を見ていたのかな
俺には 何も見えない
聴こえないし 感じられない

ただ、あなただけがいろあざやかで・・・・・・・・


「「ご主人様。tetsu様をお連れしました」」
蝶と愛羅は、青白い蝋燭が照らす幻想的な空気に満ちた広間にtetsuを案内した。
天井はとても高く、そのままどこか別の空間へと続いていそうな程だった。
そこには部屋の中心に大きな革張りの椅子が一つあるだけで、他には何も置かれていなかった。
と、その椅子から小柄な人影が立ち上がり、
「ごくろうさま、蝶、愛羅。下がっていいよ」
心を消し、自分に仕える忠実な人形に仕立てた少女二人に冷たく告げた。
そして、顔を上げると待ち望んでいた客人に向けてにっこりと綺麗に微笑んだ。
その笑みに、蝶と愛羅は頬を赤らめ、うっとりと夢見るような瞳になる。この二人は、主人を本当に愛しているのだろう。それが偽りの主従だと気付かずに。
が、tetsuもまた彼女達と同じように彼の笑顔に心奪われていた。
(ななな、何て綺麗なひとなんや・・・?)
tetsuは赤くなった頬を無意識に押さえた。

艶やかな長い黒髪
雪白の肌は陶磁器のよう
零れそうに大きな瞳は 血溜まりの色

全てが完璧に整っている。
こんなに美しいイキモノがこの世に居る事に、tetsuは心から驚き、一瞬で魅了されていた。
その様子を穏やかな目で眺めながら、
「ようこそ、俺の城へ」
優雅な礼をして、彼は一歩踏み出した。
「俺はhyde。・・・・逢いたかったよ、tetsu。ずっと、君だけを待っていたんだ」
惑わすような声で、tetsuの心を支配していく。その言葉の一つ一つに、呪縛の魔力が込められていた。
hydeはゆっくりとtetsuに近付く。
蝶と愛羅はもういない。
tetsuは、見えない鎖に縛られたかのように動けない。
ただ、自分が壊れていく感覚に飲み込まれていった。
「・・・ずっと、傍に居てくれる?」
何時の間にか、hydeが目の前に立っていた。
そっと、優しく頬を撫でられる。hydeの手は、血が通っていないかのように冷たい。
「・・・俺を、独りにしないで・・・・」
耳元で囁かれたと思った瞬間、tetsuの意識は途切れた。

瞼の裏に焼き付いて離れない、窓の向こうで笑う満月・・・・・・・・。


「ああ、そうだ」
力の抜けたtetsuの身体を愛しげに抱き締めながら、hydeは扉の向こうに控えているであろう少女達に命じた。
「門の辺りに居る人達・・・・・連れてきてくれる?」
「「かしこまりました」」


ここで少し時間が遡る。
tetsuが蝶と愛羅に連れられて、茨の巻き付いた、薔薇を模した城門を潜った頃。
蝶と愛羅が燃やした茂みの辺りで。
「・・・ほんとに行くの?(半泣)」
「・・・yukihiro君は行かないの?」
「・・・星夜は行くんか?」
何とかtetsuの尾行に成功したken・yukihiro・星夜の三人だが、木陰から覗く古城の醸し出す『いかにも』という雰囲気に気圧されて中々先に進めずにいた。
「・・・俺、帰ってもいいかなあ?(半泣)」
yukihiroはがたがたと震えている。
「なんや、ゆっきー情けないなぁ。いっくらなんでもオバケなんか」
「きゃ――――――っ!!!!」
kenが茶化して言った『オバケ』と言う単語にさえ、yukihiroは大絶叫を返してきた。
隣にいた星夜は耳を押さえて涙目で訴えた。
「yukihiro君・・・・耳いたい・・・・・」
「わっ、ご、ごめん、星夜ちゃんっ」
yukihiroは恐怖の余り声がひっくり返ってしまっている。彼は極度の怖がりなのだ。
その様子に呆れつつもkenは口を開く。
「けどなぁ・・・・行かんとあかんやろ?」
がりがりと頭を掻く。
「・・・・kenちゃん、kenちゃん」
くいくいとkenの着ている派手な柄の赤いシャツの裾を引っ張って、星夜が耳打ちする。
「それはそうなんだけど、yukihiro君はどうするの?まさか置いてくわけにも」
「いやあああああっ!!置いて行かないでええええええっ!!」
どうやら聞こえていたらしい。
yukihiroは目に涙を浮かべて星夜の肩を揺さぶった。
「うわあああああああyukihiro君ちょっとおおおおおお」
「ゆっきーあかんて、星夜が死ぬ!」
kenがなんとかyukihiroを宥めようとした、その刹那。
城門が、音も無く開いた。
そこから人影が二つ、こちらに向かって近付いてくる。
「――――――っ」
yukihiroは卒倒しかけた。星夜が慌ててそれを支え、現実に止まらせる。
kenだけが落ち着いてその人影を見据えた。
「・・・どーやら向こうからお迎えが来たみたいやな」

やげて、三人の前に行儀よく並んで二人の少女は言った。tetsuに言ったのと同じ事を。

「お待ちしておりました、ken様、yukihiro様、星夜様」
「ご主人様の命により、貴方様方を城へご案内させて頂きます」

 
「くすくす・・・・・」
hydeは大きな天蓋のついたベッドの上に寝そべっていた。
頭を枕元に座らせたtetsuの膝に乗せ、嬉しそうに笑う。
深紅の絹が、彼の肌の白さを際立たせる。
ふと、思い出したようにtetsuを見上げてhydeが囁く。
「ねぇ、tetsu。君に逢いに来た人達が居るんだよ。・・・・邪魔だよねぇ」
言って、酷薄な笑みを浮かべる。

「消しちゃう?」

     望むモノは手に入れた

     あなたの身体 あなたの魂(ココロ)

     もう何も要らない

     世界さえ 俺には もう 価値が無い

     あなたさえ 居てくれれば 
  
     こんな世界 消えたって構わない

     だから 邪魔するモノは

     赦さない――――――! 
    



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2404 序章 「月光」 2001/12/21(Fri)05:27 風城空牙 (size:1911)
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2429 きゃぁ!!(^▽^) 2001/12/22(Sat)04:38 まいちん☆ (size:769)
2432 第一章 「日常と呼び声」 2001/12/22(Sat)08:51 風城空牙 (size:4217)
2433 ・・・・なんか長い(爆) 2001/12/22(Sat)09:03 風城空牙 (size:993)
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2437 第二章 「狂気に似ている」 2001/12/22(Sat)15:58 風城空牙 (size:4368)
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2518 第八章 「求める理由」 2002/1/3(Thu)11:39 風城空牙 (size:5582)
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