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【2667】第4話 地下都市
2002/10/29(Tue)22:32 - 雪斐。 - Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 6.0; Windows NT 5.1) - 6054 hit(s)

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「あんたに関係ないだろ・・・俺の意思だ。」

hydeはふいと顔を逸らすと壁に寄り掛かりながらしゃがみ込んだ。
今気がついた事だが、これらの機械は全く音も熱も出していなかった。
止まっているわけではないのだろうが。

「お前全然変わってへんな〜hyde。」
そう言うとにこーっと笑って男がhydeの顔を覗き込んだ。

hydeは正直この笑顔が苦手だった。

この笑顔を見るとひねくれた自分が凄く嫌になるからだ。
「名前まで覚えてたのかよ・・・」
「そうやな〜あれからお前1回もこんかったもんな〜。
でも俺は一度会った奴のことは忘れへんのや。凄いやろ。」

「あ〜凄い、凄い。」

hydeは自慢気に微笑む男をからかうようにして手をパチパチと叩いてやった。
けれど男は不思議そうに自分を見つめる。

「何だよ。」
「そう言えばさぁ・・・お前俺の名前覚えてないやろ。」




「は?」
「やっぱり覚えてなかったか・・・なぁ〜んか寂しいなぁ。」
hydeが間の抜けた声を出すと男は口を尖らせて横を向いた。

「何も言ってねぇだろっ!!」
「じゃあ、言ってみろ。」

「・・・tetsuだろうが・・・」
「あったりぃ〜!!凄い、凄い。よく覚えてたなぁ〜。嬉しいわ。」

tetsuは嬉しそうに微笑むとさっと右手をhydeに差し出した。
「何だよ。」
「再会したんやから〜。握手♪」
「嫌。」
hydeが冷めた目でtetsuを見上げると再びそっぽを向いた。

「何やとぉ?ええやんかぁ〜減るもんやないし。」
tetsuはそう言うと強引にポケットに入っていたhydeの手を掴んで握手(?)をした。

「何で男と・・・」
何処を見るでもなくtetsuから顔を背けていたが、強引に手を握られたことで不機嫌そうにtetsuを睨みつけると、一瞬tetsuの表情が強張っていたように見えた。

「・・・ん?何?」
不審そうに睨みつけるhydeの視線を感じ取ったのか、tetsuはさっきまでの笑顔に戻っていた。

「何か俺の手見て考えてなかったか?」
「は?俺は手相占い師か。気のせいや。」

「意味わかんね〜・・・ところでココ何処?」
ははっと笑うとhydeは再び周りを見渡した。
相変わらず静かで圧迫感のある機械だらけの部屋だ。

「を〜?初めて笑ったな。ココはね・・・秘密基地。」
何処かふざけたような言い方だったが表情は真剣だった。
「もうすぐこの世界は酸素が無くなるからな。酸素作る機械とかね。」


hydeは呆然とした。

酸素が無くなる?
そんな大気中にある酸素がそんな簡単になくなるモノなのか?
だってさっきまで普通に外を歩いていたじゃないか。


「何?知らなかったの?・・・良かったねぇ。ここに来れて。」
今度はtetsuがははっと笑った。

「どう言うことなんだよ。酸素ってそんな簡単になくなるもんじゃないだろ?さっきまで普通に歩いてただろっ!!」
hydeが声を荒げると、tetsuがさっき出会ったときのように顔をしかめて口に人差し指を当てた。

「もぉ・・・静かに喋ってや。ここだって安全やないんやから。」


それからtetsuは淡々と言葉を並べた。


ここは人間の手で作られた世界だと。
空も土も水も風も光も。
酸素なんて簡単に抜けるらしい。


「何だよそれ。」
「この世界は完全な人口的世界なんだよ。全部作り物。」
tetsuは小さく溜息をつくと、がたっと椅子から離れ近くにあった機械をいじり始めた。

「じゃあココは何処なんだ?」



「地下都市。」

tetsuが複雑そうな顔をして俺を見た。



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