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【2498】第六章 「血色の薔薇」
2001/12/30(Sun)17:46 - 風城空牙 - Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 5.01; Windows 98) - 15955 hit(s)

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少しずつ 月が堕ちて行く
もうすぐ 見えなくなる
薄れていく 降り注ぐ白い光
その輝きに濡れて
血色の薔薇が 咲き乱れて・・・・・・




「あれ?」
客室を出て城内を探索している途中。
ふいに窓の外へ目をやった星夜が立ち止まった。
「なんや?」
「どうしたの?」
先を歩いていたkenとyukihiroが引き返してくる。
「うん・・・あのさ、来た時って、薔薇なんか咲いてたっけ?」
「はぁ?」
「薔薇・・・・っていうか、花なんか無かったでしょ?」
二人とも怪訝そうに言う。
「そうだよね。だけど・・・ほら」
星夜が窓の外を指差したのに倣って、kenとyukihiroは窓を押し開けて外を見た。
瞬間、息を呑む。
「な・・・・!?」

荒れ果てていたはずの中庭。
そこに、鮮やかな深紅の薔薇が敷き詰められていたのだ。

「ね・・?おかしいよね?こんなに沢山の薔薇・・・」
「kenちゃん、ヤバイよ」
星夜の言葉を遮って、yukihiroが低く囁く。その顔が青ざめている。
「城内の魔力が・・・・どんどん強くなってる。
でも、こんな・・・一人だけでこんなに力を使えるわけないよ。暴発する・・・」
『・・・・それは無いわ・・・・』
ふいに響いた声に、三人はばっと宙を見上げた(yukihiroが小さく悲鳴を上げたの
は誰にも聞こえなかった)
「誰やっ!?」
『・・・・早く、あの子を止めなさい。
急がないと・・・あの子も、貴方達のお友達も、戻って来れなくなってしまう・・・
・』
「え・・・!?」
『・・・・急いで・・・』
「ちょ、ちょお待ってや!!あんたは・・・」
「ken君!!」
yukihiroがしっと指を立ててkenを黙らせた、その刹那。
長い廊下の角から淡い青色の灯りが近付いて来て、
「「こちらにおいででしたか」」
二人の少女の声がぴったり重なった。
蝶と愛羅だ。
「ご主人様がお待ちしております」
「寝室の方へご案内させて頂きます」
言って蝶と愛羅は踵を返し来た道を戻り始めた。
その後を大人しく付いて行きながら、星夜は両脇の二人に小声で話し掛けた。
「ちょっとちょっと!さっきの・・・変な声によると!tetsuが凄く危ないって事
だよねっ!?」
「星夜落ち着け!まだ間に合う・・・多分」
「多分って何よkenちゃんっ!!」
「・・・・・・大丈夫。何とかなるよ」
yukihiroの確信に満ちた言葉に、星夜は目を丸くした。
「ほんと!?yukihiro君!!」
「うん・・・・ほら、俺にも一応、切り札があるじゃない」
言って、yukihiroはにっこりと笑った。
その笑みが少し怖く見えた星夜とkenだった。


「ご主人様」
「お客様方をお連れしました」
蝶と愛羅は城内でも奥まった所にある大きく重そうな扉の前で立ち止まった。
その扉を見上げて、三人は呆気に取られてしまった。
「・・・やっぱり」
「自分の部屋も」
「凄いんだね・・・」(ken・星夜・yukihiroの順で)
ぼんやりと呟いていると、
「・・・ありがとう、蝶、愛羅。入っていいよ」
中から『ご主人様』の声が返ってきた。
二人はその声に従うように扉の左右の取っ手を掴み、さほど力を入れた様子もな
く引き開けた。
中は思った以上に暗かった。灯りが殆どないのだ。
「・・・どうぞ?入っていいんだよ」
くすくす、とからかうような笑い声が小さく聞こえる。
「・・・行くで」
kenが先に歩き出した。
星夜とyukihiroも後を追って中に入る。


『hyde・・・どうして・・・』


何か聞こえた気がして振り向いた星夜の目の前で、大きな扉が音も無く閉じた。


      長い 永い時間

      止まったままだった 彼の歯車

      動き出したそれは 

      誰にも 止める事は出来ない

      回りきって 壊れてしまうまで

      終幕が近付く

      壊れるのは 彼自身かも しれないけれど・・・・・


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2404 序章 「月光」 2001/12/21(Fri)05:27 風城空牙 (size:1911)
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2423 早速のご感想大・感・謝・・・v 2001/12/21(Fri)18:56 風城空牙 (size:907)
2429 きゃぁ!!(^▽^) 2001/12/22(Sat)04:38 まいちん☆ (size:769)
2432 第一章 「日常と呼び声」 2001/12/22(Sat)08:51 風城空牙 (size:4217)
2433 ・・・・なんか長い(爆) 2001/12/22(Sat)09:03 風城空牙 (size:993)
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2437 第二章 「狂気に似ている」 2001/12/22(Sat)15:58 風城空牙 (size:4368)
2438 第三章 「月、満ちる時」 2001/12/22(Sat)16:07 風城空牙 (size:4719)
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2458 第四章 「邂逅」 2001/12/23(Sun)11:45 風城空牙 (size:4516)
2459 ・・・・・どうしよ(自爆) 2001/12/23(Sun)12:09 風城空牙 (size:1064)
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2497 第五章 「動き出す―――」 2001/12/30(Sun)12:47 風城空牙 (size:4078)
2498 第六章 「血色の薔薇」 2001/12/30(Sun)17:46 風城空牙 (size:3106)
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2507 明けまして↓ 2002/1/1(Tue)16:29 風城空牙 (size:1592)
2514 第七章 「月が沈み日が昇る」 2002/1/2(Wed)10:42 風城空牙 (size:4789)
2518 第八章 「求める理由」 2002/1/3(Thu)11:39 風城空牙 (size:5582)
2519 第九章 「抑え切れない力」 2002/1/4(Fri)09:34 風城空牙 (size:4120)
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2547 わーい \(^〇^)/ 2002/1/8(Tue)19:12 風城空牙 (size:862)
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2559 第十一章 「その感情の名前」 2002/1/10(Thu)18:28 風城空牙 (size:2948)
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2582 第十三章 「戸惑う想い」 2002/1/16(Wed)18:44 風城空牙 (size:2935)
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2595 第十四章 「正反対の気持ち」 2002/1/20(Sun)11:17 風城空牙 (size:3375)
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2614 第十五章 「迷いを捨てた胸に在るモノ」 2002/1/27(Sun)12:53 風城空牙 (size:3185)
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2626 第十七章 「サヨナラと約束」 2002/2/19(Tue)20:58 風城空牙 (size:2752)
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