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【2381】第六話 接の項
2001/12/19(Wed)11:27 - 蝶(パピヨン) - Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 5.0; Windows 98; DigExt) - 11833 hit(s)

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客席は全てといっていいほど闇に呑み込まれてしまっていた
しかしhyde達は全く気づいていない
彼らの座る席の三間ほど後ろには彼らと共に式典に出席したそれぞれの連れが座っている
そこでいち早く異変に気づいたのはマイだった
だが、マイ自身その異変をそよ風程度にしか感じとれないでいた
ken同様tetsuの舞いを純粋に見入っていたからだ

『・・・ナァーゴォ・・・・』
陽の舞いの鈴の音しか響いていない主街道に猫の鳴き声のようなものが聞こえたような気がした
そこでやっとマイは辺りを見回す事ができたのだ
(・・・っ!?なんだいまのは)
自分の座っている席より後ろを振り返るとただただ闇ばかりで一寸の光さえ見えない
陽の舞いで目が光に慣れてしまったからだろうか?
その闇に理由をつけようとしたがいっこうにマイの目は光を映すけはいはない

(動物?)
闇の中にカサカサと動く小さなものの気を感じた
その小さなものは急に真っ赤な光を二つ放ったのだ
しかもそれは二つだけではない
いくつもの方向、いくつもの赤い光がtetsuのほうばかりを睨みつけているようだった
(なんだこれは?まやかしかなにかか??)

そんな事を考えていると不意に場が荒れ、嵐のように破壊される主街道の映像が頭の中に入り込んできた
ぐっと身を構え繭をしかめると
(いかん!悠長なことをしている暇はないということだな
予言は凶兆をしめしておる、早めに行動せねば・・・)
きっとこれは邪悪なものに違いない、なんらかの害をなすものだな
マイは各国の王子と主街道におもむいてきている人々を助け出す方法をとっさに考えていた

(ここで何の害もくらっていないのは私とその他の連れ、そして王子達だな
それにしても主催者の門番はどこにいるんだ!!
そもそも生身の人間と言うのが私と愛羅様、それと王子どもしか今は見当たらん
hyde様の連れは式神、愛羅様はまだ能力も開花していないと聞くし、tetsu様は舞台上、守護獣はその側だ・・・
yukihiroさまの連れはロボットのコード0028のみ
kenにはこの私だ・・・・他の奴らを離しておくのではなかったな・・・どうする!くそっ!!)
下唇を噛み、この闇を蹴散らす方法を考えた

「マイ殿、なにやら冷気がまとわりつくのだが」
隣にいたhydeの式神が前を見つめたまま静かにマイに話し掛けてきた
「わかるのか?」
「まあ多少は、hyde様と愛羅様を守れというのが主人のいいつけだ力になろう」
「助かるよ、でもこの状況をどうするか・・・、この闇の正体もわからん」
「もののけだ」
「なぜそう思う」
「俺が鬼だからだよ」
マイは首を傾げたが、力強い味方を手に入れたのにはかわりはない
優先すべきは自らの命より王子達の命
彼らを安全な場所へ・・・

『に゛ぁーごぉぉ』
やはり猫の声だ
暗闇から光に向かって無数の猫がじりじりと歩き出してくる姿を見た
「猫・・・」
「あぁそうだな、猫だ
さて、どうしたものかな」
式神の飄々とした態度にマイは煮え切らない表情を浮べる
「そもそも式神がなぜ感情を持つ」
こんな事態に聞くことではないが彼女は今まで不思議に思っていた事をつい、口に出してしまった
「そこいらの式神使いと一緒にするな、ご主人様は偉大なんだよ
それともなにか?式神に感情はいらないと?」
切なそうに微笑する式神を見て、マイは申し訳ないと軽く頭をふった

あの赤い光は猫の瞳だった
闇に二つ浮かぶ真っ赤な瞳
「おい、式神よあの猫どもはどうもtetsu様を狙っておるようだ
tetsu様だけではない、他の王子にも何をされるかわかったものではないぞ!」
すでに結界の用意をしたマイは人差し指と中指をそろえ唇をかさねるとそのまま大きく腕を開いた
そして式神はマイの言葉を聞くか聞かないかのうちにコクンとうなずき次の瞬間にはhyde達の席へ移動していた

「hyde様」
「ん?式神か、いきなり出てくると驚くだろう」
「すみません、しかし少しばかり騒ぎがおきそうなので・・・――――――――」
式神が訳を話すとhydeはスッと立ち上がって
「僕らを守る?いや、僕は戦います、この能力どこまで使えるか試してみたいので」
嬉しそうにわらった

『に゛ぃ――!!』
猫の鳴き声は今度は鮮明になって聞こえてきた
人間が聞いてもわかるぐらい怒りに満ちているものだった
「こりゃ、やっかい」
マイは呟くと結界を張り終えたのか自分の手を下ろした
(tetsu様!!)
その時赤い目の猫たちが光の中にあらわになった
tetsuのすぐ側まで迫っている
猫はやせ細っていて、まるでミイラだ
むしろミイラなのかもしれない、カラカラに渇いた皮と骨の線がはっきりと見てとれた

マイはおろした腕をすばやく振り、tetsuの元ににじりよる猫に呪を貼り付けた
醜い声をあげ猫は灰に散ったが、あまりにも多い数がいるため一匹一匹に呪をかけるとらちがあかない
(この一体は結界を張った、まずはtetsu様の所へ行かないと)
マイは身をひるがえし、周りの猫を灰に散らしながらtetsuの元へ向かって全力疾走した

『にゃぁ』
『なぁーご・・・』
『ぐるぐるぐる・・・・』
どこから出てくるのか猫は増える一方だ
hyde達の元で猫を追い払う式神は相変わらず飄々としていた

「うわっ・・・、なんだ」
tetsuは周りの雰囲気に気づいたが舞いを中断する事はできなかった
体が止まらない
「tetsu様、無事ですか!!?」
マイは走りながらtetsuに問い掛けた
猫を振り切りながら来たので多少息は荒れている
しかしマイがつくか否かtetsuのもとに駆けつける前に猫の方が先にtetsuに飛び掛っていた





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