戻る〕 〔クリックポイント〕 〔最新の一覧

【2313】第三話 岩の項
2001/12/4(Tue)19:39 - 蝶(パピヨン) - Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 5.0; Windows 98; DigExt) - 11591 hit(s)

引用する
パスワード




「本日は晴天なり」
そう呟いたのは20歳近い女だった
晴れ晴れとした空にわたあめのような雲の間から見えるのは目もくらむような青だ

「明日は波乱の予感がするのう
今朝胸騒ぎがするのでな、水晶を見てみたのだよ
そうしらたなんとKen、お前の姿が映ったよ私には理解ができん
これは何を意味するのだろうな」
20歳近い女性は異様に老いたような話かたをした
全身を黒と紫で統一し、アラブに住む民族のような格好だ
目はとても澄んでいて緑色をしている
整った顔立ち、スッと高く伸びた鼻、長いパーマがかった緑の光沢を放つ髪
よくわからないが、口には妖しく光るルージュの口紅が日に照らされてキラキラとしていた
そんな女の口元をほぅと見つめながら七歳と思われるKenという少年がこう答えた

「俺が水晶に?なんやわからんなぁ
・・・お?おぉっ!?明日て三年に一度の式典やん!!」
驚いたような表情はしていたがいたずらっぽく笑うKen
「そこでKenに関わる大事な事が起こるのやもしれんぞ、覚悟していくんだな
私も一緒について行くが自分の身は自分で守らねばならん」
厳しい表情で女は言う

Kenは龍の鮮やかな刺繍が描かれている服を身にまとっていた
ほんのりと王室どくとくの香の臭いを漂わせて
「マイが一緒なら俺は何でもええねん♪
たとえ妖怪が出ようとも大気の竜巻が起きようとも怖くない♪」
緑色の瞳を大きく開け呆れた表情でマイは目の前で嬉しそうに笑うKenの頭を撫でている

「「マイ」かこれでも私はお前より長く生きているんだがな」
「ん?」
「いやいや、なんでもない
そうやって接してくるのはお前が初めでだってことさ
この国でたった一人の予言師である私を初めから気味悪がったり、軽蔑しなかったものな」
そんなことを言うマイにKenは下からきょとんとした視線を送る

「俺らが持ってないその目の色やなんかはムッチャ綺麗なんやで!なんで気味悪がらなあ
かんの?
それにかーちゃんのいない俺にとって特別な人なんやで
ダメやなーマイは、自分で自分を否定しよる」
マイはフフッと笑い、つやのある唇をゆるませ
「大人だのうKenは」
そう言い、かがんでKenの頬をムニッと指でつまんだ

Kenとマイは湯屋のような建物が騒然と立ち並ぶ中にぽっかりと開いた緑の空間にいた
建物と言う建物全ての戸がこの森林の空間に向かっている
森林はドーナツ型で、周りを囲う木々の真ん中には芝があり岩がゴロゴロとしている
そこにマイとKenはいるのだ

「なぁKen、もうすぐお前のいたずら友達が来るぞ」
ふと右側を指差すマイの先をKenはじっとみつめると赤を貴重とした建物の戸に人影が見える
「・・・とーちゃん!!」
そう言い放ち満面の笑みで指先の向こうの人影に突っ込んでいった
「とーちゃん!どこいってたんや?
今日は俺と遊んでくれる言うたやないか!!ぶぅーー」
ぶぅと頬を膨らませる
Kenの父親とみられる男はKenの体を軽々と抱き上げてすまなそうに、でもいたずらっぽく苦笑した

「いやぁ・・・ごめん
とーちゃんもKenとイチャイチャしたかってん・・せやけどな・・・・」
「・・・・けど?」
「明日は主街道での式典やろ?
いろいろ準備があんねん」
「でもでもでもでもー!!」
父親に抱かれながらKenはすねて暴れてみせた
「わかるやろ?」
「・・・ほんなら式典終わったら山に行きたい・・」
うつむき少し目を潤ませてKenは言った

「ほんまかんにんな
そのかし今日はマイを一日好き放題使ってええで♪」
Kenの父親はマイを見つけにんまりと笑う
「!!?」
いきなり話をふられたマイはかがんだ姿勢のまま驚いた表情でぽかんと口を開け上を見上げていた
「まっまたれよ陛下
なぜそんな急に話しが飛ぶのだ」
ガバッと立ち上がり驚いたままの表情でKenの父親に言った

「がははっ
ええやん、どっちにしろ式典に行くのには今日出発せなあかんのやから」
豪快に笑うKenの父親
その強引さにマイは何も言えなくなっていた

その時、上目遣いで愛くるしいほどの表情を浮べKenがマイを見つめた
「マイは俺の事きらいなん?・・・」
そう潤んだ瞳で話し掛けてきた
「そうなん?・・・――」
「くうぅっ・・・」
Kenの甘えた表情はマイの母性本能をしっかりと射抜き無意識にKenを抱き締めさせていた
幼いながらに女心を掴むする七歳児

そしてKenの父親はマイの方をポンと軽く叩きにっこりと微笑んでから来た道を戻っていった
「なぁKen・・・、一つ修正してもいいか?」
「なんや?」
「私を認めてくれる者はもう一人いたという事だよ」
「???」
マイは嬉しそうに笑った



























Kenと予言師であるマイ、それに連れのものを率いて一行はまもなく星の道を渡る



【ツリー構成】 〔このツリー(2245)の投稿を全て表示する

2245 削除
2246 削除
2248 削除
2258 削除
2261 はぃ。 2001/11/21(Wed)18:49 蝶(パピヨン) (size:1021)
2260 第一話 雪の項 2001/11/21(Wed)18:38 蝶(パピヨン) (size:4134)
2262 削除
2263 削除
2265 削除
2267 削除
2270 変身 2001/11/23(Fri)16:41 蝶(パピヨン) (size:1300)
2269 第二話 陽の項 2001/11/23(Fri)16:04 蝶(パピヨン) (size:5143)
2276 削除
2285 削除
2293 削除
2314 武者震い(謎) 2001/12/4(Tue)19:53 蝶(パピヨン) (size:962)
2313 第三話 岩の項 2001/12/4(Tue)19:39 蝶(パピヨン) (size:3912)
2321 第四話 流の項 2001/12/4(Tue)22:07 蝶(パピヨン) (size:3207)
2322 削除
2323 削除
2327 削除
2335 削除
2344 削除
2373 第五章 初の項 2001/12/17(Mon)15:38 蝶(パピヨン) (size:4993)
2374 変心デス☆ 2001/12/17(Mon)16:11 蝶(パピヨン) (size:1694)
2378 削除
2380 削除
2381 第六話 接の項 2001/12/19(Wed)11:27 蝶(パピヨン) (size:4637)
2382 第七話 触の項 2001/12/19(Wed)11:49 蝶(パピヨン) (size:3158)
2385 削除
2387 削除
2388 第八話 判の項 2001/12/20(Thu)16:44 蝶(パピヨン) (size:5785)
2390 お返事 2001/12/20(Thu)17:03 蝶(パピヨン) (size:1010)
2409 削除
2394 削除
2398 削除
2415 削除
2420 削除
2421 第九話 予の項 2001/12/21(Fri)17:02 蝶(パピヨン) (size:1970)
2422 ふぅ(恥) 2001/12/21(Fri)17:16 蝶(パピヨン) (size:1190)
2424 削除
2430 削除
2441 第十話 時の項 2001/12/22(Sat)18:23 蝶(パピヨン) (size:3085)
2442 削除
2447 削除
2452 削除
2455 削除
2460 削除
2461 第十一話 調の項 2001/12/23(Sun)12:30 蝶(パピヨン) (size:2600)
2465 編芯。 2001/12/24(Mon)15:54 蝶(パピヨン) (size:879)
2545 削除
2466 削除
2473 削除
2484 削除
2533 削除
2534 おじょぱぁ〜(何者?!) 2002/1/7(Mon)16:23 hana (size:823)
2597 第十二話戻の項 2002/1/21(Mon)17:57 蝶(パピヨン) (size:2625)
2598 篇心 2002/1/21(Mon)19:36 蝶(パピヨン) (size:967)
2604 第十三話 事の項 2002/1/24(Thu)15:25 蝶(パピヨン) (size:1933)
2609 削除
2650 削除
2651 削除
2674 夢の項 2003/3/27(Thu)18:13 (size:2402)
2675 削除

※ 『クリックポイント』とは一覧上から読み始めた地点を指し、ツリー上の記事を巡回しても、その位置に戻ることができます.